「私の人生、このまま終わるの?」。こんな気持ちが再燃したのは二人の娘の巣立ちの後。再燃、というのは子育て真っ最中にも税理士をめざして断念したことがあるからだ。「悔しいなと思って」とほほ笑む楢﨑聡美さん。今度こそは! という気持ちで、2009年から3度目の受験で行政書士試験に合格した。26歳で結婚してずっと専業主婦。ビジネス系の人脈は皆無だから、開業後ポスティングをした。たった1本電話がかかってきた。ペット関連のトラブルだった。相手方に内容証明を送って解決。ペットを専門領域の一つにしたいと考え、愛玩動物飼養管理士2級も取った。「高齢ゆえにペットを飼えない人のために、将来ペットを託せる人を決めて、公正証書遺言を作っておくと、ペットの行く末も安心で、その方も楽しく暮らせる。私は元々動物が大好きなので、そういうお手伝いも増やしたいですね」。また、外国人労働者が増えるグローバル社会を反映して、入国管理局申請取次も増えている。「許可が下りなければ国に帰らないといけなくなりますから、書類は何度も何度も見直します。依頼者の人生を左右する仕事。責任重大な分、やりがいを感じます」。
福岡県行政書士会・西福岡支部の理事など世話係も積極的に引き受け、人脈不足は行動力で補う。最近、刺激的だったのは相続関連の勉強会に参加した時のこと。「エンディングノートを書いたんです。余命を設定してやりたいことを書き出すんですが、今できることばっかりだった!」と気づいてバイクの大型免許を取りに行き、ツーリングを楽しむように。「気持ちは35歳。この年齢っていろいろな可能性を感じさせるでしょ。あと30年はがんばれる年だし」と屈託のない楢﨑さん。 “人生このまま終わり?” の問いから始まった “やりたいことをやる人生” は幕を開けたばかりだ。
行政書士
楢﨑 聡美さん
福岡市出身。学生時代からラジオ局でアルバイトをするなどマスコミ業界に興味を持ち、学校卒業後は福岡のテレビ局報道部で4年勤務。26歳で結婚退職。2008年に国家試験受験を決意し、2011年行政書士試験に合格。「ペット法務」「相続手続き」「外国人在留資格申請」「交通事故後遺障害認定」「内容証明・契約書等作成」を主要業務とする『聡美事務所』を開設。弁護士、司法書士、行政書士、社会保険労務士、税理士、保険代理店等40名のメンバーで構成される『相続・事業承継ネットワーク』の代表も務める。
▲ 1.「行政書士は弁護士と違い、訴訟手続きの代理人にはなれません。でも、裁判まではしたくない、簡便に済ませたいという場合は私たちの出番なんです」と楢﨑さん。
▲ 2.各士業と連携して『相続・事業承継ネットワーク』を立ち上げた。
▲ 3.中型免許を取得し、ツーリングを楽しむように。さらに最近は大型免許を取得し、スズキGSX1250Fに乗っている。
行政書士 聡美事務所
福岡市西区姪の浜2-3-11 ビブロス901
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