インタビュー

柚木 マスミさん/「どうにかなるくさ」。前を向けば何だってできる。

柚木 マスミさん柚木 マスミ(ゆのき ますみ)さん
福岡県糸島市出身。農家の娘として3人の子どもを育てながら家業を継ぐ。自らの起業プランが2005年「福岡県農村女性チャレンジ支援事業」に採用され、2006年『惣菜畑がんこ』開業。店舗での惣菜の量り売りの他、JA糸島の農産物直売所「伊都菜彩」への弁当や加工品の出荷や、弁当宅配などを次男と共に行う。2010年には食を通じた地域貢献の功績が認められ「第20回食アメニティコンテスト」農林水産大臣賞を受賞。

「どうにかなるくさ」。前を向けば何だってできる。

糸島市に「がんこさん」と親しみを込めて呼ばれている女性がいる。「今朝は採れたてのカブが届いたとよ!」と見事に育ったカブを抱えて現れたその人こそ、がんこさんこと『惣菜畑がんこ』店長の柚木マスミさん。農家出身の女性起業家として注目を集めるが、いわゆる “農家の女性” というイメージをくつがえす、パワフルな活躍を続けている。

50歳での起業
農家の跡取り娘として育った彼女。農業を継ぐ子どもは高校卒業と同時に家業に専念するのが常だったが、選んだのは就職の道。父の後押しもあって選択できたことだったが、やりたいことを実現する力はやはりその当時から発揮していたのだろう。結婚退職後、27歳で長男を出産。30代で本格的に農業の世界に足を踏み入れた。ほどなくして、せっかく作った野菜の売り先が少ない現状を目の当たりにした彼女は、何とかできないかと考え始めるようになった。ある日、余ったみかんで大量のジュースを作ったが、やはり売り先はなし。はて、どうしたものか…と悩んでいたその時偶然目にした「出店者募集」のCMが彼女の転機となった。「売り先がないなら、自分で売れるところに行けばいい!」と即、申込みの電話をかけた。彼女が目をつけたのは福岡市内のバザーイベント。販売は大成功だった。1989年当時、地方の生産者が市街地に出て直接販売することなどめったにないこと。そんな頃から柚木さんは“直売の先駆者”として次々と各地に出店していたのだ。
40歳を前にして、心にはいつしか大きな目標が芽生えていた。「50歳になったら自分の店を持ちたい」。目標を叶えるべく見せた行動力もまたすさまじい。東京で起業講座を受講したり、中小企業診断士にアドバイスを受けたり。そうやって少しずつ練り上げた起業プランが、なんと2005年「福岡県農村女性チャレンジ支援事業」に採用。事業支援を活用して自宅納屋を改装、2006年『惣菜畑がんこ』をオープン。50歳での起業だった。

次の目標を目指して

彼女が作るのは、糸島産の旬の野菜をふんだんに使った惣菜。九州大学で提供する弁当は学生たちの “お袋の味” として親しまれ、保育施設へ宅配する弁当は野菜嫌いの子どもも喜んで食べるほど。美味しい地元の旬を多くの人に伝える彼女の功績は国にも認められ、2010年には食を通じて地域づくりに貢献する活動事例を表彰する「第20回食アメニティコンテスト」で最優秀賞となる農林水産大臣賞を受賞。福岡県では初となる快挙だ。
今や多くの人に愛される店を持つ彼女だか、すでに次なる目標も見据えている。「子どもとお年寄りが集える会員制食堂をつくりたい。実現するには課題が山積みだけど “どうにかなるくさ” ってプラス思考で進んでいきます」と快活そのもの。最近ではツイッターやフェイスブックを駆使して地元の若者たちと交流して共同でイベントにも出店するというから、そのアクティブで軽快な姿勢には驚かされるばかり。“農家” という枠を超え、豊かなアイデアと持ち前の行動力をふるって、目標へ走り続ける彼女。次の目標が開花する日もそう遠くはない。

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