星本 聖矢(ほしもと せいや)さん
『株式会社岩田屋三越』 福岡三越
総菜・レストラン・地下・他階催事 担当
佐賀県出身。福岡大学卒業後『株式会社三越』入社。半年間の研修を経て、食品売り場の全国菓子コーナー「全国銘菓菓遊庵」に配属。2013年には「全国銘菓 菓遊庵」、和菓子、洋菓子の3つの主要売り場の運営を補佐する担当者として、三越の菓子売り場の現場の第一線で活動。2014年2月に行われた九州最大級の売上げを誇る催事「バレンタインフェア」の担当を務める。2014年4月より現職、9月に開催予定の「北海道物産展」の担当責任者として奔走中。
星本さんへ3つの質問
Q. この仕事に向いている人は?
A.ステークホルダーの喜びを生む“意志”のある人
Q. あなたのバイブルは?
A.「風の谷のあの人と結婚する方法」(須藤元気著・幻冬舎文庫) 自己啓発の本ですが、時間の使い方に関する解説が、生き方のベースとなりました。
Q. あなたのメンターは?
A.父と兄 社会人として、商売人として、人間として、目指す姿の指標でいてくれています。
百貨店の食品売り場で培った“現場主義”アイデンティティ。
消費者の声を、市場へ、業界へシェアする若きホープ。
若者離れが叫ばれて久しい百貨店業界で、奮闘する青年を見つけた。『福岡三越』の食品フロアで活躍する星本聖矢さん、27歳。入社5年目にして福岡三越の目玉催事「北海道物産展」の担当をまかされた、期待のホープだ。
好きな街・福岡で働きたい、と彼が選んだ職場が百貨店だった。入社当時に配属されたのは、若手社員の登竜門とも呼ばれる地下の食品売り場。全国の菓子を取り扱う「全国銘菓 菓遊庵」だった。毎日多くの客で賑わい、商品数は数百を越え、その回転率も非常に高い職場で約3年半、商品の受注・発注・管理、新商品の仕入れ・開拓はもちろん、売り場での品出しから会計まで、あらゆる業務をこなした。「椅子に座る暇もなかった」と振り返る彼が、その過酷な職場で培ったのは徹底した“現場主義”だった。「売り場では一人ひとりのお客様とよく話をしていました。季節や風潮によって変化するお客様のニーズや好みを、その都度知りたくて」。現場で得た消費者の声を取引先の菓子メーカーや店舗へ伝え、仕入れる商品を決め、ときには新商品を要望することも。そうやって仕入れた商品の味や魅力を自身の言葉にして、また消費者へ伝える。多くの取引先とシステマティックにつき合い、商品をただ売り場に並べているのではない。あの地下の食品売り場の賑わいの裏には、一人ひとりとのつながりを積み重ね、消費者と取引先、双方のつなぎ手として奮闘する星本さんの姿があった。
今自分のできる仕事で、若い世代を百貨店へ呼びたい
そんな彼が今年、抜擢されたのが「北海道物産展」の担当だ。現場主義の彼が目指すのは、これまでにない物産展。「自分がやるからには、過去に見たこと、買ったことがないお店がずらりと並んで『新しい、楽しい物産展だ!』ってお客様にワクワクしながら来てもらいたくて。本当は体験型物産展とか思い切ったこともやってみたいんですけど」と笑いながら教えてくれた。この4月から北海道に足を運び、現地で自ら目をつけた新しい路面店やショップに出展交渉する日々。出展社の半数以上が九州初を含む福岡三越初出展となる予定で、期待せずにはいられない。
今の目標は、彼と同じく同世代の若者たちにも百貨店に来てもらうこと。「私も学生時代は百貨店に足を運ぶことはほとんどなくて…。勤めて初めて、お客様と商品をつなぐべく日々よりよいものをセレクトすれば、常に新しい価値を提供できる場だと実感しています。だから、その価値をぜひ若い人たちにも伝えたい。自分ができる今の仕事を通して、少しでもそれを広めていけたら嬉しいです」。情熱を秘めた瞳で、冷静にそう語る星本さん。彼が百貨店業界の今後を背負うイノベーターになる日も、きっと遠くない。