インタビュー

カイル・リックスさん/新しいこと、多様性に対してオープンマインドに。それが料理の創造力になる。

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カイル・リックス さん
ヒルトン福岡 バー&ダイニング「クラウズ」シェフ
ニューヨーク出身。料理専門学校卒業後、当時アメリカでワインコレクションの1、2を競っていたレストランや三ツ星レストランなどで、NYスタイルの料理を追求する。29歳の時、チャレンジのため福岡へ。2015年にヒルトン福岡バー&ダイニング「クラウズ」にシェフに就任。

カイル・リックスさんへ3つの質問

Q.料理人になろうと思ったきっかけは?
A.デスクワークが大の苦手。アクティブでクリエイティブな仕事がしたかったから。

Q.座右の銘は?
A.「1回目で成功させろ」。失敗してやり直すのは無駄だから、最初から完ぺきにやることを目指す。そのためには準備すること、自分の強み、弱みや限界を知る、そして、それができるポジションを得ることが必要。

Q.今、欲しいものは?
A.自分の目の色と同じシベリアンハスキー。犬が大好きだけど、今のアパートでは飼えないので、糸島あたりの戸建ての家を手に入れるのも夢。庭でアーチェリーもしたいな。

新しいこと、多様性に対してオープンマインドに。それが料理の創造力になる。

「日本語で話すことがチョットデキマス」。取材陣の語学力をおもんばかってか、会うとすぐにカイルはこう言ってくれた。細やかな気遣いを感じる。はにかんだような笑顔とブルーアイがキュートなNY出身のシェフだ。4年前にNYから友人のいる福岡へきて、ヒルトン福岡のバー&ダイニング「クラウズ」のシェフに迎えられたのが1年半前。

彼の料理はフレンチを基本にしたNYスタイル。そのNYスタイルについて尋ねると、彼はきっぱりとこう言いきったのだった。

「日本人はたぶんアメリカ料理、ワカリマセン」

「日本人が想像するアメリカ料理は、ハンバーガーやピッツア、フライドチキンなど、〝デブ料理〟(笑)。でも、マイアミ、テキサス、カリフォルニア、シアトル、ハワイなどそれぞれの土地で基本の料理はちょっとずつ違う。アメリカ料理は多種多様なんです。そんな多様性が複雑に混じりあって一つにまとまった形がNYスタイルです」。

さらに彼は続ける。「NYスタイルはインターナショナルだからスペイン料理、懐石料理など一つのジャンルができても仕事にならない。勉強したことを焼き直していてもダメ。インスピレーションと舌の感覚を常にリセットして創造していかねばならないものです」。NYスタイルは進取の気性で一瞬も留まらないもの。時代の先端で進化するエキサイティングで洗練された料理なのだ。

カイルが料理の道に目覚めた16歳からの人生も実にアップ・トゥ・デイト。高校時代は授業が終わると、毎日レストランでアルバイト。週末はその頃家族と住んでいたワシントンD.C.から夜行バスでNYに行き、無給で様々な店を経験した。その後、料理専門学校に進み、人の3倍の速さで勉強して1年半のプログラムを半年でクリア。

その間もアルバイトをしていたから、NYにどんなレストランがあるかは大体網羅していたそうだ。19歳から三ツ星レストランを始め国内有数のレストランを経験。料理コンテスト番組にも何度も出場したことがある。

強くなければ続かない。美しくなければ創れない。

アメフトや野球、ラクロスなどスポーツ少年でもあったカイル。20代前半にナンバー2のシェフを任された時、シェフはチームを率いるキャプテンであり、コーチであり、マネジャーであると実感したそうだ。同じレストランでも状況は毎日違う。「フィジカル的、メンタル的に厳しい世界。そこには、チームワークが大事。今、いいチームを率いているのがすごくいいね」。

またカイルは潔癖ともいえるほどのキレイ好きだ。「美味しい料理は美しいワークスペースからしか生まれない。ゴチャついていると、料理も乱れる」のだそうだ。「でも、チームはいつもみんなニコニコだよ。楽しく料理するから、お客さんを幸せにできるお皿ができるんだ」。

例えば、彼が花火をテーマにコースを組み立てるとしよう。彩り鮮やかな料理をスターターにしたら、メインは花火の後に漂う煙の匂いをスモーキーなグリルで演出する。「クラウズ」を舞台に繰り広げられるのは五感を感動させる物語。世界レベルの美食の旬(いま)がきっと堪能できるだろう。

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