大部 正代(おおべ まさよ)先生
中村学園大学栄養科学部・栄養クリニック 教授
中村学園短期大学食物栄養科卒業後、浜の町病院の管理栄養士として34年間勤務。2003年中村学園大学大学院栄養科学研究科修了後、現職へ。栄養士としての知識や経験にもとづき、現場に強い学生を輩出すべく指導を行っている。大学に併設されている「栄養クリニック」での患者の栄養食事指導や生活習慣予防のための料理教室も開催し、糖尿病の予防や改善に尽力。
塩糀(しおこうじ)を使えば、こんなにヘルシー! 美味しい!
美しさと健康を叶える “野菜の上手な食べ方”。
昨年夏ごろからブームの “塩糀”。料理にも簡単に使えるし、体にもとてもいいらしい。上手に使うコツを知りたい! と、今回は中村学園大学の栄養学の専門家・大部正代先生に話を聞いた。
野菜嫌いも克服するうま味パワー。
「塩糀は、野菜や肉などどんなものにも合う、調味料の万能選手。グルタミン酸をはじめとするうま味成分のアミノ酸が豊富に含まれているので、塩の代わりに使えば料理のうま味がぐんと増します。また、塩糀に漬け込むと酵素が食材のデンプンやたんぱく質を分解して柔らかくする働きがあるので、美味しい肉料理などが簡単に作れます」と大部先生。先生が主催する「栄養クリニック料理教室」でも昨年から塩糀を取り入れているそうで、簡単で美味しいレシピは人気だとか。
「うま味が味を引き立てるので薄味でも美味しく、余分な塩分をカットできます。それに、野菜を賢く食べるための強い味方になってくれます。野菜は毎日350g以上摂ることが望ましいのですが、生野菜だとバケツ1杯食べても足りません。そこで例えば、生野菜に塩糀を混ぜて1時間ほどおくだけで野菜のカサが減り、量もぐんと食べらるように。野菜の味も美味しくなるので、キュウリ嫌いを克服した人もいるほどです」。塩糀パワー、恐るべし!
日本人の体質を知って、体によい食べ方を学ぼう。
また、大部先生は塩糀など健康に役立つ食品をきっかけに、自分の食事を改めて見直してほしいと語る。「日本人は “倹約遺伝子” を持っています。食べたものを体に蓄積して飢餓に備えるための体質なのですが、これだけ食べるものに恵まれた今の時代、その遺伝子がかえって体に悪い影響を及ぼしています」。日本人の体はそもそも食べ過ぎや脂肪分の多い欧米食に弱く、すぐに余分な脂肪を体内に溜め込んでしまう。その結果、病気が引き起こされ、特に糖尿病患者はこの半世紀で約20倍にまで増えたという。
「日々食べるもので人間の体は作られています。自分の好きなものを食べたいだけ食べるのは “楽しい食事” という意味では正しいこと。ですが、食べるものに溢れ、様々な食品が手に入る今は、“上手に食べる” ことも学ばなければいけません」。野菜をより多く食べるように意識する。日本人の体質に合った和食メニューを増やす。ちょっとした心がけ次第で、日々の食事はすぐに体にいいものへと変えられるそう。
今回のゼミでは、塩糀を使った簡単レシピの紹介や手作り塩糀の作り方をはじめ、日々の食事の中で野菜を多く摂り、よりヘルシーな食生活へと変えるコツが満載。旬の野菜を漬け込んだ「塩糀漬け」の試食もあり! 野菜の “上手な食べ方” を学んで、健康なカラダづくりのヒントをもらおう。