インタビュー

岩瀬 由和さん/福岡の夜カフェに、スペシャルティコーヒーを。 消費者のコーヒー観を変えるおいしい一杯を提供したい。

岩瀬 由和(いわせ よしかず)さん
レックコレクティブ株式会社 代表取締役オーナーバリスタ
愛知県岡崎市出身。料理人、コーヒー店のアルバイトを経て、大学時代の友人であり共同経営者でもある北添修さんと2008年に『レックコーヒー』を立ち上げる。大切にしているのは、コーヒーの生産者の生活を守りスペシャルティコーヒーの品質を維持すること、高品質なコーヒーを提供することで消費者のコーヒーに対する価値観を書き換えること。コーヒーに関する各種セミナーも開催している。

岩瀬さんへ3つの質問

Q.この仕事に向いている人は?
A.探求心がある人。答えを探さずに柔軟なアプローチができること。

Q.あなたのバイブルは?
A.特にありません。強いて言えば今は亡き歴史上の人物達に会って話を聞きたいですね。

Q.あなたのメンターは?
A.父親。経営者だった父を尊敬しています。自分にとって越えるべき存在です。

福岡の夜カフェに、スペシャルティコーヒーを。消費者のコーヒー観を変えるおいしい一杯を提供したい。

コーヒーの味は減点法で決まる。「60点の材料に人の手が入り80点の一皿へと変貌するのが料理だとしたら、コーヒーという飲み物は真逆。最高の状態で仕入れた豆の品質をいかにキープするかが味の違いとなります。後から点は上がらないけれど、可能な限り100点に近い豆を追い求めるロマンがある。ごまかしがきかない世界、それがコーヒーです」と語る岩瀬由和さん。

一般財団法人スペシャルティコーヒー協会が主催する協議会でJBC2014チャンピオン、WBC2015セミファイナリストに輝く腕前を持つバリスタであり、福岡に3店舗を展開する『レックコーヒー』の経営も手がけている。

“おいしい”を普通に

24歳の時に最高品質のスペシャルティコーヒーと出合った。本物を扱う楽しさ、おいしさを追求する喜びなど、奥が深いコーヒーの世界へ一気に引き込まれていった。愛知県出身の岩瀬さんだがコーヒーで起業する地として福岡を選び、2008年、トラックでのコーヒー移動販売を薬院でスタート。こだわり抜いたスペシャルティコーヒーを提供し、「スタンド式だし、味なんて普通だろう」といった客の思い込みを良い意味で裏切り、話題となる。

その後、福岡アジア美術館内、薬院駅前、県庁前と続けて店を構えた。エスプレッソマシンを扱うバリスタに、実は定義も資格もない。技術を磨き、エレガントな所作が身につくまでに時間がかかる、職人の世界なのだ。型通りの正解は存在せず、その時その時のベストなおいしさにアプローチし続ける姿勢が大切だという。

「シメの文化」がある福岡から発信したい

飲食業界にとって福岡は特異な街だ。「味覚がすぐれていて本物を見分ける目を持つ人が多いが、お金をかけるのは身の丈に応じた範囲のみ。他の主要都市に比べ人口が少なく、事業が成り立つのは難しい。だからこそ、福岡で成功したものはどこに進出しても上手くいくはず」。他県出身だからこそよく見える。「愛知にはモーニング文化がありますが、コーヒーはおまけ。職住隣接の福岡は朝どこかに寄り道するよりも仕事帰りの夜の時間を楽しむ傾向がある。福岡にはシメという言葉が浸透していて、飲んだ後の一杯のコーヒーを求める人が潜在的に存在します。そんな人たちへスペシャルティコーヒーを提供し続けることで、コーヒーの価値そのものを高めていけたら」。福岡の街でコーヒーを広める意義を、そう語ってくれた。

今後はさらなる展開を目指し、経営者としての比重を高めていきたいという。「2つのことを同時にハイレベルでやろうとするとバランスが取りづらい。店舗から離れたとしても経営者として自社ブランド力を上げることに集中します」。バリスタを育成し、スペシャルティコーヒーの味わいを楽しめる人を増やすというビジョンの先に、福岡発の新たなコーヒー文化が花開こうとしている。

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