インタビュー

多久島 法子さん/ぜひ気軽に観てほしい!能の魅力を発信して次世代へとつなげたい。

ぜひ気軽に観てほしい!能の魅力を発信して次世代へとつなげたい。

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「能楽は現存する継承されている演劇として世界最古で、ユネスコの世界無形文化遺産の第一号に登録されたんですよ。すごいと思いませんか?」とキュートな笑顔で話す多久島法子さん。プロの能楽師は全国におよそ千人で、30代以下の女性は5人ほどしかいないという。そのひとりが多久島さんだ。

祖父と父が能楽師で、重要無形文化財総合指定保持者という名家の次女。2歳で初舞台に立ち、「継ぐという意識はなかったのに、気付いたら東京藝術大学の能楽専攻に進学していました」と明るく笑う。だが、大学時代「能はこんな世界なんだ」と奥深さに改めて目覚め、卒業後は大槻文藏氏の内弟子に。鞄持ち、掃除、道具作り、お金の管理など朝から夜まで働き、休みはなんと1年のうち1月2日の午後のみ。そんなハードな修行生活を7年にわたり送った。

29歳で独立し、独立公演では女性能楽師としては初の難しい演目にも挑戦。あれから7年、全国の舞台に出演するほか、福岡・大阪・佐賀で弟子(生徒)に稽古をつけている。弟子には小学生もいるが、メインは60代以上の女性なのだそう。「昔に比べて、能を観に来られる方も習われる方も減り、高齢化しています。能は日本が世界に誇る伝統芸能なのに、このままではあと百年続くかさえ微妙で…。後世に受け継ぐには、皆さんに能を愛してもらい一緒に守ってもらわなければ」と力を込める。

女性の私だからできることがある

彼女が今、力を入れている活動のひとつが事前講座だ。公演に先がけ、能楽師自らが演目を解説する。「能はシンプルな舞台芸術ですが、初めて観る人には難しいので、事前にストーリーや見どころをお伝えしています。能の魅力のひとつは形式美。所作から衣装まで全てが美しいんです。次に生の演奏。空気を切り裂くような凛とした音やリズムに身を委ねていただきたい。そして、私が一番魅かれているのは物語。恋愛や親子愛・神様に祈るなどを通して普遍的な人間の感情を描いたものが多く、自分ならどうするかな、なんて考えてみるのも面白いですよ」。そう聞くと、敷居が高いと感じていた能がグッと身近に感じられる。

ほかにも、子ども向けに能の紙芝居を手作りしたり、ワークショップでクイズ大会をして能博士に賞状を贈ったり。能のことを話すときの多久島さんは、実にいきいきとして楽しそうだ。「能楽師の世界はいわゆる男社会。その中で、どうやって能の魅力を発信して未来へつないでいくか、若手の女性の私だからできることがあると信じて、これからも地道に活動していきます」。

『能楽師』 観世流 シテ方
多久島 法子さん

1981年福岡市生まれ。2歳で初舞台を踏み、東京藝術大学に在学中、優秀な学生に与えられる「安宅賞」を受賞。大阪の人間国宝大槻文藏氏に入門し、2010年独立。全国の舞台に立つほか、講演や能楽教室などを通じて能を次世代につなぐことに情熱を傾けている。公演等の詳細はFacebook「能楽師 多久島法子」にて。

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