離婚をしたいのですが、はっきりとした原因をうまく説明できません。それでも離婚できますか?
別居して、冷却期間をおいて考えてみることも、一つの方法です。
これまでに、①話し合いか調停かの何れかで合意ができれば、理由が何であれ離婚ができること、②話し合いをしても調停をしても離婚の合意ができないときには、裁判をおこさなければならないこと、③裁判で離婚をするためには、原則として法律上の「離婚原因」が必要となることをお伝えしました。
ですから、離婚をしたい原因をはっきりと説明できない場合には、パートナーが納得をしない限り、裁判をして無理矢理に離婚をするということはできません。
とはいえ、離婚をしたい気持ちや事情を上手に説明できないからといって、永遠に離婚ができないということではありません。
こういう時には、いったん別居をして冷却期間をおき、お互いに今後のことを考えるというクッションを置いてみるのも、一つの方法です。
実際に別居をして、離婚したときと同じような生活をしてみることで、同居からくる精神的な辛さが少なくなり、離婚を急がずに別居を続けてもいいなと思うかもしれません。あるいは、思っていたよりも別居生活が大変で、やはり離婚を考えなおそうと思うこともあるかもしれません。
もしかしたら、別居をすることで、あなたの離婚をしたいという気持ちが十分に伝わり、パートナーの考えが変わり、話し合いで離婚ができることもあるかもしれません。
このように別居をしつつ、時間をおいて考えてみても、やはり離婚をしたいという貴方の結論が変わらず、かつ、離婚をしたくないというパートナーの結論にもぶれがなく、どうしても話し合いがつかないという場合には、「お互いに考える期間を十分において考えたけれども、それでもどうしてもやり直せない」という事実自体が、「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当し、法律上の「離婚原因」があると判断をされる可能性も出てきます。
その時にはあらためて、状況にあわせて、話し合い、調停、裁判などの何れかの、離婚にむけた手続きを進めていくことが考えられます。
なお、別居をきっかけとして、あなたの考えが「やはり離婚をしたくない」と変わったとしても、今度は逆にパートナーの側が「離婚をしたい」と思い始める可能性もあります。ですから、実際に別居をはじめるにあたっては、別居後の生活や、相手の気持ちも変わるという可能性についても十分に考えたうえで、本当に別居をしてみるかどうか、よく検討をしてみてください。
別居中の生活費(婚姻費用)については、本年5月10日・5月17日のコラムなどをご参照ください。
別居をするべきかどうかや、別居をしてみた後に、いま自分がどういう状況にあって、今後どのような手続きをとったらよいかについて迷うことがある場合には、弁護士へも相談をしてみてください。
京都大学法学部卒。54期。2001年10月から弁護士としてスタートを切る。弁護士として要求される「離婚」を巡る専門知識・技術を磨くと同時に、「結婚」を巡る知識・技術も磨き、今ではその成果を達成し、私生活も充実している。
女性協同法律事務所
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女性協同法律事務所について
「女性による女性のための法律事務所・女性の権利のための法律センター」を目標に、1989年に事務所を設立。現在では11名の女性弁護士が在籍している。相談者は圧倒的に女性。離婚事件が多く、相続などを含めると約6割が家事事件。つづいて破産・負債整理、セクシュアル・ハラスメントを含む労働事件、少年事件・刑事事件、性暴力や医療過誤、交通事故や学校事故などの損害賠償請求事件、通常の契約をめぐる事件など。法人のメリットをいかし、長期間にわたって「お一人様の老後」の世話をする成年後見の業務にも携わる。