病室に戻った翌日から もう5分粥での食事開始と歩行開始
今は術後すぐに歩いたりする事で 傷の治りが早いとのこと・・・
・・・と言われても・・・どうにも身体がだるくてとてもそんな気になれず
ベッドでごろごろ
斜め前の大腸がんを手術したおばあちゃんは 医師の言うとおりに
朝早くから歩行を開始し 食欲も旺盛でどんどん元気になっていく
私ときたら まったく食欲も戻らず 体も動かす元気も気力も出なかった
抗がん剤をできるだけ早く始めようとの話だったけど
先生にわがまま言って とりあえず日曜日までゆっくりさせてもらい
翌週月曜日から抗がん剤治療となった
それにしても まだ抗がん剤も飲んでないのに なぜ食欲がもどらないのか?・・・
結局 手術ではなく試験開腹だったのだから
手術前と違うのはおなかに傷があるだけで おなかの中は全て前のまま残っているのに・・・
まったく食欲が出ないのは ・・・ なぜ? ・・・
そんな様子を心配して医師が「なぜ食欲が戻らないのかなー?・・・」
「手術前は少しは食べられていたのにね・・・」 ってことで
栄養剤の点滴が始ってしまった
体力がないと抗がん剤治療もできなくなるから・・・
私はそんな状態の自分が とても不安になった
『このままごはんも食べられなくなってしまうのか・・・』
『ごはん食べられないということは・・・死んでしまうんじゃ・・・』
と、なんだか急に怖くなってきた
夜、歯を磨いていた時 鏡に映った痩せっぽっちの自分を見て 泣けてきた
なんだか このまま終わってしまうような 思いが膨らんで
不安で 不安で
そんな状態に抵抗できない自分が悲しくて 涙がぽろぽろ落ちてきた
そこに、いつもは夕方に顔を見せてくれる主治医のT医師が夜ひょっこり来られた
先生の顔を見た途端 涙はもっと溢れてきた
素直に今の思いを伝えたら いつもの優しい笑顔で
「手術したばっかりなんだから、食欲ないって焦らなくても大丈夫。ひとつひとつの現象に一喜一憂しないようにね。」って
グッドタイミングで先生が来てくれたので 私はグーっと深く思い詰める前に
落ち着きを取り戻すことができた
おなかを切ったことでも かなり体力消耗するのは当たり前だもんねって
思えてきた
身体が弱っていると 心も相当へこんで後ろ向きになる
心が後ろ向きになると 身体も力が無くなってくる
「負の連鎖」
しっかり心を強くして 負けずに前に進んで行かなければ―――
それからは少し開き直ることができて
ごはんが食べられなくても 点滴で栄養は入っているから 「大丈夫!」 だし
そのうち体力も戻ってくるだろうって ――― 楽観できた
そうしたら 沢山届いていたみんなからのメールにも やっと目を通すことができて
みんなの思いや言葉にも勇気をもらい
少しずつ元気を取り戻していった
抗がん剤治療がスタートするまでの何日かは
心と体が安定するための大切な時間だった
☆いっこ☆