インタビュー

山本 真理さん/“普通”の女性が、社会を変えるきっかけになる。

山本 真理(やまもと まり)さん
北九州市議会議員

1963年北九州市若松区出身。1986年『旭計器工業(現、旭テクネイオン)株式会社』に入社。7年半勤務後退職、福岡市へ。1997年より『グリーンコープ生協ふくおか』、『ふくおかネットワーク・中央(現、城南)』の活動を経て1999年より北九州市八幡西区へ。2001年から『ふくおか市民政治ネットワーク・北九州』代表、事務局長を務める。2009年2月より現職。『ふくおか市民政治ネットワーク』の代理人として奔走中。

“普通”の女性が、社会を変えるきっかけになる。

「政治は政治家がすればいい、私には関係ない」と一度は思ったことがあるかもしれない。だが小学校給食のアレルギー除去食が、“1カ月に一度くらいはみんなと同じ昼食を食べさせてあげたい” という一人の母の願いから実現したとしたら。「文句は井戸端会議で留まってはダメ。議会で発言しないと何も変わらない」と語る北九州市議会議員山本さんに話を聞いた。

「社会と隔絶された」と感じた子育て期

初めから政治に関心があった訳ではなかった。大学卒業後はがむしゃらに働き、妊娠後も子育てをしながら仕事を続けるつもりだったが、夫の転勤が重なり叶わなかった。そして訪れた苦悩の時期。「自立できている」という自信が一気に崩れた。
「退職を機に自分がお金を生まない存在になってしまい、自分の価値が一気になくなってしまった気がしたんです。社会から切り離されたようで孤独で辛かったですね」。
そんな折、安全・安心の食材を手に入れるため参加した福岡の生協の組合員活動で、食の安全や環境問題、福祉などを学ぶ機会を得た。そのまま『ふくおかネットワーク・中央(当時)』に誘われ、選挙活動など意欲的に参加するようになったのが、現職のきっかけだった。

議員は“代理人”

山本さんが所属する地域政党『ふくおか市民政治ネットワーク』では、議員の立場が独特だ。議員はみんなの声を届ける “代理人”。生活の課題について、ネットメンバーや課題を寄せた市民と一緒になって調査し、改善案や問題点を話し合って議会で発言している。“議員にお任せ”ではなく、あくまで意思決定のプロセスに “市民が関わる” 政治スタイルだ。
北九州では『ふくおか市民政治ネットワーク・北九州(以下、ネット・北九州)』が2000年からスタート。公共施設のバリアフリー化、身体の不自由な人への図書郵送サービスなど “一人の声が、多くの人の問題解決のきっかけに”なる事例を増やしてきた。2001年からはネット・北九州にて代表、事務局長を務め、前代理人のしきた信代さんを支え、次期代理人候補に抜擢。つまり、議員選挙に出馬するということだ。夫の説得には苦労したがネットメンバー総勢で説得し、理解を得た。
「“こんな風になったらいいな” “これはおかしい” といった現実が、議会に向けて発言すると変わる。社会にむけて何かできるって、とてもワクワクするんです!」。

女性の着眼点は新しい

社会の男女比率は半々なのに、政治の意思決定の場はほぼ男性という現実は今もある。北九州の議会も定員61人中女性は9名と少数だ。しかし山本さんは「女性の視点が、社会をよりよくする意見になりうる」と語る。
「小学校給食のアレルギー除去食は一人の女性の声から実現しました。同じように、環境、福祉、食、子育てなど様々な分野で、女性が初めて発見することは多い。それを確実に議会に届けることこそ、私たち議員の使命であると感じています。政治こそ生活に直結するもの。特に今は人任せではいけない時代になっています」。
そう語気を強めた山本さん。昨日よりも今日よりも、よい暮らしを実現するために走り続ける。

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