インタビュー

江口 カンさん/今までも、これからも。 人の心に何かを残せる作品を創りたい。

江口 カン(えぐち かん)さん
映像ディレクター・『KOO-KI』代表
福岡県出身。九州芸術工科大学卒業後、1997年『KOO-KI』共同設立。TVCMや映画、ドラマなどエンタテインメント性の高い作品を手がける。「カンヌ国際広告祭FILM部門」金賞、「福岡県文化賞」など受賞多数。Boards誌(カナダ)「Directors to Watch2009」にも選出される。2010年~ 2012年の「クリオ賞」(米)審査員。

江口さんへ3つの質問

Q. この仕事に向いている人は?
A. マゾ! だね(笑)。
つまりいろんな意味でしんどいことを楽しさに変えていける人かな。

Q. あなたのバイブルは?
A. あえて、ないです。アイデアがワンパターンにならないように、いろんなことに触れたり、読んだり、観たりしたほうがよいと思っているから。

Q. あなたのメンターは?
A. あんまり意識したことはないけど、関わる人すべてからなんらかの影響は受けている。


今までも、これからも。
人の心に何かを残せる作品を創りたい。

緊張する私に、「はじめまして~」と優しい声。声の主は、「おしい! 広島県」「ジョージア」など、数々のCMや短編映画を創り出してきた映像ディレクター・江口カンさん。今回のゲストだ。

好きなことに没頭していたら、結果がついてきた

大学在学中から、映像作品を創っていたという江口さん。自分の好きなことをして収入を得られることに魅力を感じ、卒業後も迷うことなくその道に進んだ。そして、友人と会社を立ち上げたのは16年前。ドアにペンキを塗るだけで一日過ぎたこともあったが、ただ一筋に「人よりおもしろいものを創りたい」という想いで作品を撮り続けた。

そんな彼の名を世に知らしめたのは、「カンヌ国際広告祭」金賞を受賞した『サガミゴム』のCM。それはまた、彼自身が思いもよらなかったところへ波及する。「このCMを自分の国でも流してほしい」「この製品を自分の国でも卸したい」と映像に対する評価はもちろん、海外に市場を開拓するチャンスにも繋がったのだ。本来の目的だった「製品のよさを伝えること」も予想以上の結果をもたらしたが、「何より、『サガミ』の社員さんたちが『胸を張って自社や商品(コンドーム)を語れる』って言ってくれたことがうれしかった」と、当時を振り返る。

また、江口さん曰く「映像を目にする機会が増えている今は、素通りされない工夫も必要。それはセンスやテクニックもさることながら、グッと惹き付ける「何か」が重要。この仕事は、影響力がないとやっている意味がない。自分がおもしろいと思うものを、自分の責任のもとにこれからも創っていきたい」。人に影響を与える“ 何か” を創ることに、純粋で誠実な彼だからこそ、「この人にうちの商品を託したい」と仕事のオファーが集まるのだろう。

「おもしろいものを作りたい」。その欲求に素直なだけ

心を捉える作品を創り続ける彼、そのアイデアはどこから来るのだろう。「やっぱり人と話すことって大切。何かを見たり触れたりするようにもしているけど、僕の場合、天才コピーライターの岡田さんって人とブレストすることが多いかな。自分たちでスパーリングと呼ぶほど、言葉の打ち合いなんですよ」。会社を立ち上げたのも、「人と一緒にやることでしかできないことに気づいたから」だという。「映像」の分野は、そのニーズが増えているからこそ、埋もれないための“個性と存在感”が必要なのだ。

「映像クリエイターって一番残業の多い仕事って言われてるんだけど、僕は自分の人生をそこに使う意味が、ものすごくある仕事だと思ってる。そしてその意味を、自分自身で創り出すことができる仕事なのも間違いない」。伝えたいことをどうおもしろく魅せるか。そこに妥協を許さない彼の作品は、これからも観る人の心を捉え続けるに違いない。

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