インタビュー

松田 美幸さん/組織や人が成長する姿を応援し続ける。

松田 美幸(まつだ みゆき)さん
福岡地域戦略推進協議会 フェロー
Profile/専業主婦経験後、27歳で保険会社の企画営業に従事。その後、米国イリノイ大学に留学、MBAを取得。帰国後マーケティングや組織改革のコンサルティングに従事する。1995年麻生グループのコンサルティング職に。「日本ハビタット協会」理事や「新生活産業くらぶFUKUOKA」代表など幅広く活躍。

組織や人が成長する姿を応援し続ける。

彼女がチームに加わることで、福岡市の行革のDNAは全国の自治体に広がった。麻生総研を立ち上げ、麻生グループの戦略策定と推進に奔走しながら、数々の行政組織の委員を務めてきた松田美幸さん。1999年に関わった福岡市経営管理委員会では、民間の経営手法を活かして、市民から頼られる市役所づくりに向けて尽力した。七人の委員のうち女性は一人。組織開発のプロである彼女に白羽の矢が立ったのだ。

職員を巻き込みながら委員会が提案した改革で、それまでは “仕事をこなす” ことに追われていた職員が、“自分たちがどんな価値を提供できるのかを考える” ようにと変化し、現場の士気は上がった。福岡市で始まったその明るい改善活動は今や全国に広がっている。

お互いの真剣さが共鳴し、進む改革

その後も、県立病院改革や国立大学のマネジメント改革などに声がかかり、いずれも先駆的な取組みで成果を上げた。さらには省庁の政策評価・独立行政法人評価の導入など、国の政策を支える一人となった。今は、福岡都市圏の国際競争力の向上をめざして設立されたシンク・ドゥ・タンクのフェローとして、地域の成長戦略の推進に関わっている。また、NPO法人アジア太平洋こども会議イン福岡でも戦略アドバイザーを務め、グローバル人材育成に力を注いでいる。

産・学・官・民と松田さんが活躍を広げる理由は、キャリアに裏付けられた実績はもちろんのこと、彼女の仕事への取組み姿勢が大きい。「お引き受けするときは、ほんとうに私が携わって貢献できるのかどうかを考えます。それと、ほんとうに変えたいと覚悟のあるトップと出会えるかどうか」。必要だと感じれば、反対意見も具申する。トップが本気であれば、変革は起きると信じて諦めない。保身に走らない姿勢こそ、求められていたものだった。

キャリアを積む準備を戦略的に

松田さんは大学3年、30歳と二度米国に留学している。そのときに「手に入れたいことがあれば、声を上げ交渉すること」を学んだという。彼女が留学中に驚いたことがある。それは学生たちがキャリアを積むことに対して “したたかに” 捉えて戦略を練っていることだ。「時間とお金は将来につながる経験に投資すべきだと考えている学生が多く、夏休みなどはインターンシップやリーダーキャンプに積極的に参加します。めざす将来から逆算して、計画的に経験を積み上げるんです。労働市場が流動的なので、自分の市場価値を高めることを迫られるという背景もありますが、たいへん能動的ですね。日本の女性たちも受け身にならず、経験する機会を自ら求めていくといいと思います」。

多様な組織と人の連携が力を生む

今、女性が活躍する社会づくりに国が本腰を入れている。福岡県でも経済界が主導する “女性の大活躍推進福岡県会議” が発足した。「今こそ、女性たちもリーダーシップを発揮し、社会や組織で責任を果たす時機」と考え、この組織の企画委員会副委員長を引き受けた。「多様な組織や人が連携して、最大限の力を発揮できるお手伝いができたらうれしい」。そう語るやわらかな彼女の微笑みに確かな芯の強さを見た。

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