岡 秀樹(おか ひでき)さん
『coworking space 秘密基地』主宰
1976年、北九州市出身。戸畑高等学校卒業後、豊橋技術科学大学建築学科に進学。大学卒業後、ロンドンのAAスクール(Architectural Association School of Architecture)へ留学。2003年に帰郷し、一級建築士事務所に就職。2005年より『株式会社スペースデザイン モブ』で設計から施工まで幅広い業務を担当。2014年1月『coworking space 秘密基地』創業。
丘さんへ3つの質問
Q. この仕事に向いている人は?
A. 特長を見い出す力がある人。
Q. あなたのバイブルは?
A. ヴィクトール・フランクル「夜と霧」
Q. あなたのメンターは?
A. ピーター・ズントー(スイス)、アルヴァロ・シザ(ポルトガル)、ルイス・カーン(アメリカ)。3人とも偉大な建築家であり、心のメンターです。
北九州から発信! 自由でオープンなワーキングスタイル。
今年1月、小倉駅から徒歩3分の繁華街にオープンしたコワーキングスペース『秘密基地』。雑居ビルの3階を改装した約100坪のフロアに、木のぬくもりを感じるおしゃれな空間が広がる。企画運営を行うのは設計・内装などを手掛ける『スペースデザイン モブ』岡秀樹さん。10年以上温め続けたプランを実現した。
時機到来!街の新陳代謝を活かす
コワーキングとは、仕事、会議、打合せなどに使う場所を共有しながら、独立した仕事を行う働き方。低コストというメリットに加え、その場にいる職種を超えたメンバー同士のアイディアがシェアされ、ビジネスが広がる可能性も秘めている。『秘密基地』にはWi-Fiが完備された共有スペースと個室オフィスがあり、それぞれのワークスタイルに合わせて利用できる。
岡さんがコワーキングに出合ったのは、13年前のロンドン。建築学校に1年間留学し、その後2年間現地で働いた。当時のロンドンはリノベーションが盛んで、古い煉瓦の建物が改修工事で蘇り、新たな付加価値を生み出していた。「建物が再生する姿と、いろんな人が集まってシェアする文化がすごくおもしろいと思いました」。
帰国後、岡さんはビジネス経験を積みながら時機を待った。10年以上かかってタイミングは今だと決断。「建物が老朽化して価値が落ちる今、リノベーションが起こるのは必然。シェアすることは文化的に成熟した証でもあり、これからは社会のあり方や人の繋がりも再構築される。これは僕らの世代の仕事です。やるなら今だと思いました」。
小さな夢を大きく育てる環境
昨年の夏、岡さんは理想の物件を見つけ、自ら設計と工事を行った。専門知識を活かし、改装コストは必要最小限に抑えた。この場所で起業未満のアイディアを持つ人の繋がりをサポートし、小さなニーズを掘り起こして育てるWIN-WINのビジネス展開を考えている。「経営理念は、集めて、混ぜて、繋げて、尖らせる。起業よりもっと手前にいる人たちの特長を尖鋭化して、唯一無二の存在になるようサポートしたい」。
秘密基地では、定期的にイベントやパーティを開催している。3月の交流会「Jelly」では、九州経済産業局によるクールジャパン戦略のプレゼンテーションが行われ、約40人が集まった。テーマは様々で希望者は誰でも参加できる。
「いずれは海外に秘密基地をオープンしたい」と語る岡さん。集まる人のエネルギーをシャッフルして相乗効果を生み出し、夢が実現できる環境を育んでいく。