河原 大輔先生
九州大学大学院言語文化研究院助教
愛媛県松山市出身。一橋大学社会学部卒業後、京都大学大学院人間・環境学研究科で映画学を専攻。アメリカ・ロチェスター大学大学院留学を経て2013年より現職。
映画学
技術とビジネスの発展から見える、映画づくりの裏側とは?
いまや娯楽として私たちの生活に欠かせない映画。ド派手なアクションや感動のストーリー、社会的なメッセージを込めた骨太なドキュメンタリーなど、さまざまな内容を私たちはその時の目的に応じて楽しんでいる。今回はその映画を学問として学ぶ「映画学」の河原先生を訪ねた。
19世紀末に世界で初めて作られた映画は、駅のホームに列車が入ってくる「列車の到着」という、1分足らずのもの。動く映像をはじめて見た観客は驚き、走って逃げたという“神話”も残されている。そこから映像をつなぎ合わせて意味を持たせる“編集”が始まり、状況を理解させるための映像の“文法”が作られ、見せる技術も進化してきた。
一方、産業の発展としてみると、アメリカでは当初、ひとつの制作会社が製作・配給・上映と全てを担っていたが、戦後、独占禁止法の対象となり、それぞれの工程を別会社が担うことに。1980年代から映画作りは一気にグローバル化し、世界各地で制作・配給して国外からも収益を得るビッグビジネスへと発展した。また、デジタル技術が発達してからは様々な特殊効果が生まれ、作品数を減らして1つの作品に多額の予算をかける傾向が出てくるなど、私たちが普段何気なく見ている映画は、技術と産業発展に大きく影響されていたのだ。
今回のゼミでは、先生の専門である「現代アメリカ映画」を中心に、映画史の主だった作品に触れながら、技術・産業、社会学的な立場から映画に触れてみよう。普段の映画の見方が増えて面白くなるはず。