
徳永 佳子(とくなが けいこ)さん
ナチュラルハーブ&ヘナヘアサロン
kamidoko(カミドコ)取締役
Profile/熊本県人吉市出身。国立音楽大学卒業後、地元人吉で音楽教室を主宰。その後私立短大、中・高校講師などを経て、独自の音楽療法に取り組み老人保健施設にて実践。医療分野での癒しの必要性を痛感し、縁あって就職した調剤薬局で美と健康を提案する店を次々にオープン。今春、福岡・大名にハーブとヘナのサロン『kamidoko』をオープン。
興味へまっすぐ。 自ずと道は拓く。
「自分に興味があることにまっすぐに進んでいたら、ここまで辿りついたように思います」。そう語り始めた徳永佳子さん。現在はハーブやヘナなど美と健康に携わる彼女だが、幼少時は、習い始めたピアノの才能が開花し頭角を現していた。
ピアノに明け暮れ、道を模索した日々
小学生の頃から約4年間、熊本市内まで毎週レッスンに通い、将来の夢をピアニストに定めていたそう。ピアノへの熱い思いを形にするべく東京の国立音楽大学付属高校、国立音大へ進学し、音楽と向き合う日々。卒業後、「地元で本格的な音楽指導を」との思いを抱き音楽教室を立ち上げ、後進の育成に励んだ。彼女のレッスンは評判となり、短大や中学、高校での講師の依頼が舞い込み、人吉の教室と熊本市での講師と充実した日々を過ごしていた。それが彼女の27歳の頃の姿だ。
音楽療法との出合い。
充実した日々に少しずつプラスαを求める心が芽生えた30代半ば。「若い世代を育成するやりがいを感じる一方、社会の役に立てないかと考えるようになりました」と振り返るように、それまでの音楽経験を活かし、人の根本を癒す「音楽療法」に携わるため、老人保健施設で音楽療法士としての一歩を踏み出した。「性格や時代を考えて音楽を流すと、みるみる表情が変わる。そして力がみなぎってくるんです」。音楽が心や体に及ぼす影響を、医学書を片手に現場で実践した徳永さんは 〝癒し〞 の可能性を感じ、次第に音楽という枠にとらわれず 〝人が癒されること〞 に興味を見出していった。
「心と体の健康」をテーマに。
そんな徳永さんの「やりたいこと」に共感した調剤薬局の協力も得て、医療事務の傍ら、小さな売り場を任されることになった。元々健康食品やサプリメントなどに興味があった彼女が考えたその一角は、それまで陳列していたものとは違い、健康志向の女性たちの目に留まり、どんどん収益が上がるようになったという。
ちょうどその頃だった。ハーブとアロマの癒しの魅力にみせられ、本を読み漁り、独学で勉強を始めた徳永さん。「アロマ」という言葉もあまり浸透していない当時、彼女は真っ先に自然のものを使った「癒し」を体得し、美と健康を提案するサロンを設立。その空間は、熊本の多くの女性たちの心と体を健康に導いてきた。
一つの目標をクリアすると、「もっとよりよいものはないか」と常に考える彼女がたどり着いたのが「ヘナ」だった。「私自身、くせ毛や白髪で悩んでいて何かいいものがないか探していたときに出合ったんです」。東京のサロンまで足を運び、思いを共有した塩田鹿納命氏とともに『kamidoko』を今春オープン。今や九州一円で、産婦人科のスタッフや美容部員のハーブ講習にも呼ばれるなど活躍している。「見栄えでなく、既に持っている素材を生かした新しい美容の提案をしていきたい。私がこれまで学んできたハーブやヘナのよさを伝えなきゃと思っています」と語る彼女の目は、音楽、ハーブ、アロマ、美…と常に自己研鑽をし、自ら道を切り開いてきた自信に裏打ちされた力に満ちあふれていた。