インタビュー

池田 興平さん/アイス屋がアイス屋であるために、新しい発想で、楽しい仕組みを創る。

池田 興平(いけだ こうへい)さん
『株式会社雪文』代表取締役
1976年北九州市生まれ。北九州市立大学を中退し、東京の多摩美術大学に入学。卒業後は有限会社オネストに入社、ジェラート・アイスの商品開発、企画、製造指導等に携わる。4年後に退職し、東京での創業準備期間を経て北九州に帰郷。2007年『株式会社雪文』を設立。北九州市八幡東区でアイスクリーム専門店を営む。

池田さんへ3つの質問
1. この仕事に向いている人は?
自分に基準のある人。

2. あなたのバイブルは?
上野千鶴子の著書「発情装置」。
女性学の本なんですけど、すごくおもしろかった。この世の中がいかに男性の思考によってできているか、自分たちの基準が分断されているか、よくわかりました。あたり前と思っていたことにも全部理由があることに気づき、影響を受けた一冊です。

3. あなたのメンターは?
私のメンターは妻。仕事に干渉はしないけれど手伝ってくれる。空中を泳ぐ奇妙な魚が私だとすると、その魚が乾いて死んでしまわないよう、人知れずシャボン玉を飛ばして濡らしてくれる。ほどよい距離にいてくれる人です。もしも私に魅力があるとするならば、それは私に繋がっていてくれる人そのものの魅力だと感じています。

アイス屋がアイス屋であるために、
新しい発想で、楽しい仕組みを創る。

住宅街の一角にある小さなアイス専門店『雪文(ゆきもん)』。こくみるく、百チョコ、ブルーチーズ、ほうじ茶など、メニューは20種類以上。定番に加え、季節ごとに新しい味が登場する。レシピはもちろん、パッケージのイラストもすべて雪文のオリジナルだ。素材を生かした濃厚な味は訪れた人を魅了し、口コミやブログでどんどん人気が広がった。

誠実においしいものを作りたい
「何かおもしろいものはないかなと思って、見つけたのがアイスだったんです」。学生時代、アイス好きの友人と食べ歩く機会が多かったという池田さん。友人は何を食べてもおいしいと言うが、さほどアイス好きではなかった池田さんは、本当においしいものは一握りだと感じた。店内を観察すると、どこでも同じ機械が置いてあり、味の種類もほとんど変わらない。「製造はあまり複雑ではなく、きっとバランスが大事なんだろう。自分でもできるんじゃないかな」と思った。
業界の構造に興味を持ち、仕事として選んで就職をした。会社では、ジェラートをメインにした商品開発、レシピ提供、製造指導などに幅広く関わった。業界に入ると、消費者のときよりもさらにいろいろな面が見えてきた。味と利益のバランスを取るために、添加物の使用や温度設定など様々な工夫が行われている。仕事はおもしろかったが、組織の中で自分のやりたいことを実現するには限界があった。「それなら一人でしましょうか、と単純に思ったんですよ」。会社を辞めた後、東京で必死に働いて資金を稼ぎ、北九州に帰って起業した。

北九州発、アイス部がスタート
日本人に馴染みがあるアイスに商品を絞り、誠実においしいものを作る。味を落とす添加物は使わない。「ここ北九州で、アイス屋としてやっていくためにはどうしたらいいのか、いつも考えています」。自分たちらしい経営を続けていくために、今年から新しい試みを始めた。
2月にスタートした「シアワセ、カイマス」企画。四つ葉のクローバーを持ってきた人には、アイスと交換している。「一番大切なのはストーリー。買いに来る前から楽しいでしょう」。そして、11月からは「雪文アイス部」が始動した。サークル活動のようにワイワイ言いながら、アイスを作りたい人と一緒に商品を生み出していく。参加費は1回500円で、ミルクとバニラアイスを食べ放題。参加者のいろいろな希望に応え、雪文の定番とは違った新しい味を開発する。「これは、北九州の人をアイスの中に入れちゃう企画なんです(笑)」。
“王道のモノ作り” を続け、長く支持されるために、楽しい物語を提供する。池田さんのユニークな発想に、これからも目が離せない。

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