インタビュー

富松 祥太さん/惚れた野菜たちのことを まっすぐ伝え続ける 週1日だけの八百屋さん。

惚れた野菜たちのことをまっすぐ伝え続ける週1日だけの八百屋さん。

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富松 祥太さんへ3つの質問

Q.店名「GOOD’S 8083」の由来は?

A.GOOD’Sは「いい」の集合。’は種で、この種から皆さんが幸せの花を咲かせてほしいという思いを込めています。

Q.座右の銘は?

A.「こたえのなかを生きる」。人や地球の未来を考えながら、自分の出したこたえに向き合って、生きていきたい。

Q.休みの日は何してる?

A.毎週月曜を夫婦の休日と決め、サーフィンやキャンプなど豊かな自然の中で過ごすことが多いです。

9月の昼下がり。福岡市薬院に毎週水曜日だけやって来る移動八百屋『GOOD’S 8083』を訪ねた。店主の富松祥太さんが、日焼けした人懐っこい笑顔で、お客さんや子どもたちと楽しそうに話していた。

服飾の専門学校を卒業後、数社で広告営業の仕事を経験。MVPで表彰されるほど、営業成績は抜群だった。稼いだお金をもとに、転職の合間には世界各地を旅した。

しかし、広告会社で多忙を極めた30歳のとき、壁にぶつかった。「本来、広告の仕事は『商品のよさを伝える』ことなのに、『商品を多く売る』ために必要以上に良いモノに魅せたり、謳い文句のために商品設計を変えるような空気があって…。自分の中で違和感が大きくなって辞めました」。

「純粋に、自分がいいと思えるものをまっすぐ伝えたい」。そう考えて行き着いたのは、人に欠かせない食、中でも野菜だった。
「野菜は生き物で、深い愛情を持って野菜に向き合う農家さんがいる。その野菜を買って食べる人は、野菜に生かされているのと同時に、農家さんを支える存在でもある。すごく素晴らしい営みだと気づいたんです。そんな農家さんとお客さんの間に立ち、お互いのことを伝え合う八百屋をしたいと思いました」。とはいえ、ツテがない。

そこで、直売所でおいしい野菜に出合うと、作り手を訪ねて思いを聞き、畑仕事を手伝わせてもらった。そうして自身が「心の底から惚れた」人たちの野菜を扱う移動販売店を2014年11月にスタート。

はじめはなかなか売れなかったが、徐々に常連が増えた。「現場を知って届けることが大切」と考え、今も週3日は畑仕事に精を出す。また、保育施設や出張イベント・料理教室などで、自身の伝えたいことを子どもたちにも伝わるように紙芝居をつくって、披露している。

「火曜の夜と水曜の朝、農家さんにこの子たちをお迎えに行くんですよ」と愛おしそうに野菜を眺める富松さん。「毎日が幸せ。ここにいいものを集めて、背景まで伝え続けることで、人が人を思い、未来にまで想いをはせてものを選ぶことができる、やさしい社会になればと願っています」。

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img1710_shundan3畑仕事で現場の息遣いを感じ、紙芝居という形で子どもたちに思いを伝える。お客さんの声も農家に届け、よい営みのサイクルを作る伝え手だ。

『GOOD’S 8083』(グッズやおやさん)店主
富松 祥太さん

1983年久留米市生まれ。服飾系の専門学校を卒業後、約11年間、主に広告系の仕事を何社か経験。その間1か月から1年ほど海外を旅して回る。2014年11月に移動販売の八百屋『GOOD’S 8083』店主として独立。毎週水曜の11:00~20:00ごろ、福岡市中央区薬院にある道具と雑貨の店『B・B・B POTTERS』の前でこだわりの野菜などを販売。保育園スタッフとして働いたり、畑仕事を行ったり、イベントに出店したりと、フットワーク軽い日々を過ごす。

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