インタビュー

納富 昌子さん/人への興味が原動力。人と人とをつなぎたい。

納富 昌子(のうとみ まさこ)さん
RKB毎日放送株式会社
メディア事業局専門局長

1953年福岡県生まれ。西南学院大学文学部卒業後、『RKB毎日放送』入社。女性記者として入社後10年間現場を踏んだ後、ニュースキャスターとして夕方のニュース番組を15年間担当。メディア事業局に異動後は、数々のイベントを手がける。2012年には地方の大学で初めて、ハーバード大学のマイケル・サンデル教授の講義を実現。地域文化に寄与する事業と番組の立体的展開を開拓するプロデューサーを目指している。

人への興味が原動力。人と人とをつなぎたい。

真っ赤なスーツを身にまとい、颯爽と登場した納富昌子さん。堂々とした気品と情熱的な語り口に、すっかり惹きつけられた。

ニュースと向き合い続けた25年間
海外のニュースキャスターに憧れ、『R K B 毎日放送』に入社した納富さん。女性初のニュースキャスターを育てたいという会社の意向に合致して、報道部に配属された。当時、記者職は 〝男性の聖域〞で、県警記者クラブに属する女性は納富さんただ一人。「動物園や家計簿など柔らかいネタばかりで、ニュース取材らしきものは私に回ってこない。5年ほど耐え、ようやく現場からリポートできるようになりました」。そこから選挙特番の全国中継や海外取材もこなし、着々とキャリアを積んだ。

一方、28歳で女児を出産。たった6週間の休暇で復帰した。「もちろん、乳児を預けて出社するとき、身を切られるような想いもありました。でも、女性が産後に仕事を続けられるだけで御の字という時代。上司に期待されているのがうれしかった」。

念願叶ってニュースキャスターに抜擢されたのは、入社から10年後。それから15年にわたり、毎日テレビに登場して、社会の動きを伝え続けた。現場経験を糧に、視聴者に語りかける納富さんの言葉には厚みがあり、名実共に地域の顔に。だが、そこに甘んじないのが納富さんだ。「生身のジャーナリストとして視聴者と直に接し、皆さんの息づかいや心を肌で感じたい」と、週末は積極的に講演をこなした。

地域や人の未来を照らす活動を
現在はメディア事業局専門局長として、多彩なイベントをプロデュースしている。レオナルド・ダ・ヴィンチの九州初上陸を成功させたり、昨年はハーバード大学のマイケル・サンデル教授による講義を西南学院大学で実現した。「人々をインスパイアするサンデル教授の講義に感銘を受けて、アプローチしたんです。一過性ではなく、地域の文化や未来につながる事業と番組を立体的に展開していきたい」。その先には「アジアのゲートウェイとして、福岡をもっと活気ある都市にしたい。若者に世界へ目を向けてほしい」という願いもある。

さらに、各界からゲストを招く番組「元気by福岡」を手がけ、自らインタビュアーを務める。「番組は人と出会うチャンス。人と人を結ぶお手伝いをしたい」と、地元財界や同世代の会など、プライベートで複数の会を主宰。納富さんの原動力は「人が好き」という気持ち。「人ほどおもしろくて深くて、また怖いものはない。一人ひとりにストーリーがあり、好奇心が湧き上がってくるんです」。

「企業社会はもともと男性用に作られたもの。〝招かれざる客〞 の私はもがきながら仕事を創り出し、泥んこ道を進んできた。今は女性に対する制度も整ってきたことに感謝して、それに甘えずキャリア形成をしてほしい。自分の歩み、すなわち生き方が女性の未来を進化させるのだから」。取材を終え立ち上がった納富さんは、力強く片足を踏み出した。「一歩前へ!女性には仕事の指定席がなかったから、こうしてきたの」。そう言って笑顔で去る彼女の後姿にはエネルギーが満ち、清々しい風が吹いていた。

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