インタビュー

石丸 修平さん/産学官民で手を取り合いFDCならではのモデルを生み出し福岡から世界を変える

石丸 修平(いしまる しゅうへい)さん
『福岡地域戦略推進協議会』 事務局長
福岡県飯塚市出身。経済産業省に入省後、大臣官房政策評価広報課、中小企業庁長官官房参事官室等を経て、『プライスウォーターハウスクーパース』に転職。2013年『福岡地域戦略推進協議会』参画、2015年から現職。アビスパ福岡アドバイザリーボード委員長、九州大学産学連携センター客員准教授なども務める。

石丸 修平さんへ3つの質問

Q.座右の銘は?
A.莫煩悩(ばくぼんのう)。禅僧の無学祖元が北条時宗に送った言葉で、あれこれ迷うことなく信じることを行いなさいという意味です。もともと歴史が好きで、経産省に入るとき、自分が国家や国民を守る立場になったという意識で身が引き締まり、これを座右の銘にしました。

Q.福岡でいちばん好きな場所は?
A.海の中道のドライブコース。海の真ん中を突っ切っているような爽快感が大好きです。

Q.プライベートはどんな顔?
A.1歳の子どもがいて、毎朝、出勤前にお風呂に入れるのを日課にしています。

産学官民で手を取り合いFDCならではのモデルを生み出し福岡から世界を変える

「福岡地域戦略推進協議会」、通称FDCという組織をご存じだろうか。福岡の将来像を描き、国際競争力を強化するための成長戦略を担うシンク&ドゥタンクとして、2011年に設立。現在、会員には福岡市などの行政、多種多様な企業、大学等118もの組織が名を連ねる。

「このように産学官、さらに民まで巻き込んで都市の成長に向けて活動する組織は国内になく、海外でも数例あるだけ」と話すのは、事務局長の石丸修平さん。クールな眼差しと熱いハートで、福岡の成長を支えリードするために奔走している。

35歳で福岡成長のカギを握る要職に

飯塚市出身で大学卒業後、経済産業省に入省。その理由を「経産省の取組は連日、日経新聞の一面に載る。そこに関わりたいというミーハーな動機がひとつ(笑)。それに私は社会経済が厳しい中で育った世代で、誰かに頼らず、自分が社会をよくしなければという意識が強かったんです」と明かす。

在職中は地域資源法の立案に関わり、省庁の枠組みを超えて地域の資源を磨き打ち出すための素地を作った。その後、コンサルティング会社に転じても「地域には特色がある。全国同じ法律をかぶせるのではなく、ぞれぞれのやり方があっていい」と地域の可能性を信じてきた。

そんな石丸さんに転機が訪れたのは3年前。いつかは地元へと考えていたら、FDCから声がかかり応じたのだ。「これまで日本では国が政策を作り実行してきた。しかし財政は先細りで行き届かない面も多い。そこで行政が企業、大学、市民などの知恵や力を取り入れ、一体となり活動する土壌を作るのがFDCの役割」と説明する。

都市の成長と企業や人々の幸せを実現

観光・食・人材など5部会を中心に活動し、早くも成果を上げてきた。例えば2014年に福岡市が獲得した国家戦略特区は、市とFDCの共同提案により実現。また、福岡への国際会議などMICE誘致から人材育成までワンストップで担う組織づくりを、企画から支援したのもFDCだ。複数の旅行会社などが一丸となり取り組んだ結果、福岡市の国際会議件数は全国2位、昨年比83件増に。今年、福岡市は「世界水泳2021」の誘致にも成功した。

「本来なら競合関係にある会社が協力して誘致するのは、福岡ならではの新しいチャレンジ」と胸を張る。身近なケースでは、明治通りの「水上公園」の整備。7月に船をイメージした建物が完成し、福岡の新しいランドマークとして期待がかかる。

「水上公園は福岡市の土地。企業に整備・運営を任せることで企業は利益を出し、福岡市には土地の使用料が入る。このように民間の力を活かし、持続可能なまちづくりを推進していきます」。

その先に見据えるのは九州、ひいては日本の経済成長に貢献すること、さらに福岡が世界とつながり「東アジアのビジネスハブ」になること。そしてFDCモデルで世界を変えたいと意気込む。

事務局長就任から1年。「社会の課題に向き合い、変革に責任を持つ重要なポジション。実行できなければ価値がない」と腹を括り、次なる展開への意欲も高い。「これまでFDCが掲げてきた経済的な目標に加え、私なりに例えば ”幸せ“ のような指標も設定したい。今後は子育てや女性活躍、健康など多様な分野をカバーしつつ、新たな仕組みや価値観をどんどん生み出していきます」。

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